その声は誰かと考えるのと同時に腕を強く引っ張られて連行された。
真っ黒な服、まっすぐに伸びる艶やかな黒髪。
そしてヒールの音をかつかつと鳴らして私を引っ張る。
「リリカっ、離してよ」
そう言うと急に力が抜けて、私は思いっきり転んでしまった。
行き場をなくしたリリカの手はあやふやで、そして顔を覆った。
「ねぇ、ああやって協力みたいなのするの迷惑だから。かんなはいつもそうやって私の邪魔をしようとする」
悪魔のように蔑む目は本気で怒っている証拠。私、また何かやっちゃった?
私が顔を上げて立ち上がろうとすると、再びヒールの音がコンっと響き渡る。
「なんで、かんななんだろう。優弥も健ちゃんもみんな。そういうのそろそろわきまえたほうがいいんじゃない?2人とも迷惑してるわよ」
そう言ってリリカは去っていった。
リリカは唯一の味方だと思ったのに。
たしかに私は昔から男子の友達が多かった。
だけど年を重ねてくにつれて、私を恋愛対象として見られることが増えた。
その中で私をかんなとして見てくれるのが優弥と健ちゃんだ。
2人とも大切な友達だ。
優弥は頭もよくて、誰にでも優しい。
みんなは顔がかっこいいところしか見てないだろうけど、優弥の魅力はそれだけじゃないんだよ。
健ちゃんはクールで無表情だから怒ってる?って勘違いされることもあるけど、けっこう優しいヤツだってこと、私は知ってるよ。
「友達じゃ、だめなの?」
大切な友達なのに、そこに恋愛は必要?
彼氏じゃなきゃ男子のそばにいちゃいけないの?

