『私、皇様にお使いしております、ケルベロスと申します。』


『はい...。ケルベロスさん。』



『ケルベロスで結構です。』


『はぁ。』


そのケルベロスは今まで伏せていた顔?を上げてあたしをじっ、と見つめた。


艶やかな黒い毛皮にぴん、とした耳、見た目はドーベルマンに似ているが、大きさは象位ある。そして赤い瞳には明らかに知性が感じられた。



『まずいです。非常事態です。このままではこの部屋にはった私の結界が皇様のお力で破られてしまいます。そうすると大騒ぎになるでしょう。皇様のお立場が悪くなります。』




非常事態と言う割には冷静にケルベロスは言った。