私の彼は魔王様

『花梨。』

『何?』

皇の腕枕。開いている方の手であたしの髪を弄りながら皇が言った。


『二人でどこか行こう。』

『二人で?』


『うん。遠い所。俺は花梨と一緒ならどこでもいい。』


『あたしも、皇が居ればどこでもいいよ。』



『じゃ、決まり。明日行こう!』

『明日?』


『今日、花梨のおじさんの他に魔界から使者が来て、どうやら現魔王の体調が悪いらしい。治安も荒れてるから至急帰ってこいって。』



『現魔王ってお父様じゃないの?』


『あの人は自分が楽したいから早く引退したいんだよ。この前なんか引退したら母さんと旅行いくんだ~ってはしゃいでたし。』



『本当?』


『本当。だから明日行こう。万が一魔界に帰ったら今度いつ来られるか...』



『うん。わかった。』