桜の花に、想いを乗せて

ポケットに花飾りをつけた人が廊下に見えたので、私は3年生の教室へ急いだ。

航平は同級生や後輩の女の子に囲まれていた。

「航平……。」きっと誰にも届かない声量で私は航平の名前を呼んだ。

女の子にキャーキャー騒がれてる航平がこの声に気づくはずがない。

それなのに航平はこちらの方を見て、ニコッと笑いかけてくれた。

「ごめん、俺ちょっと用事あって…」
と航平は女の子の輪から抜け出し、こちらへ歩いてきた。

「話、あるんだろ?体育館片付け終わってもう誰もいないと思うから、行こう。」
私の手を取って、体育館へ向かった。