〜side航平〜

ピピピッというアラーム音で目が覚める。

6時半に起きて、隣の家に住む幼なじみの夏生(かお)を玄関で待つのが日課だ。

制服のシャツを着ながら俺は思った。

「この制服着るのもあと一週間なのか。」

俺が高校を卒業したら夏生は悲しむだろう。

俺が小学校を卒業する時も、中学を卒業する時も派手に泣いた。

家は隣なのに、なぜあんなに泣いたのか俺は未だに理解出来ない。

ただ今回高校を卒業するのは、俺にとっても大きなことだ。

高校とは違い、大学は学校の規模が違う。

人間関係も複雑になるだろうし、勉強だって難しくなる。

そんな中、俺は果たして夏生との時間を取れるのか?

やはり俺にとって夏生は1番だから、夏生とはできるだけ一緒にいたい。

それでも、将来のためには勉強を第1に考えなければならない。

それが俺にとっていちばん辛いことだった。