四月・・春・・。春は始まりの季節。だからきっと私にも素敵な出会いがあるなんて夢みていた・・。素敵な恋ができると期待していた・・。


私は橘桜。今日から高校二年生。彼氏いない歴17年。しかも初恋もまだ。こんな私だって何度か告白されたことはある。でも、私は告白されるたび断っていた。だからこのままじゃいけない!と思い、ただいま好きな人作り中。

・・・なんて事を頭の隅で考えながら親友でもあり幼馴染でもある望月晴香と廊下の窓側で話をしていた。晴香の話を聞きながら窓の外を見る。大きなキレイな桜が下に咲いていた。
(もう春だなぁ・・)そんな事を思い桜を見つめていると下で友達と走っていた一人の男子生徒と目が合った。(鬼ごっこでもしてるのかな?)

「・・・。」

金髪に赤いメッシュを入れて、だらっと制服を着、ネクタイもゆるゆるのうえにピアスやネックレスをじゃらじゃらとつけた男子・・・。(・・すごいなぁ。)その男子が私を見ている。

普通ならここで目を逸らすはずなのだが私はその瞳から目を逸らせなかった。

「おい、優。何やってんだよー。行くぞー。」

「え!お、おぅ・・。」

その人は友達に呼ばれ向こうの方へ走っていった。

「あ!あれ大葉優じゃん!!」

気がついたように晴香が言う。

「晴香。知ってるの?」

「知ってるも何もここらじゃ一番の悪よ?!隣町の奴等を大葉ともう一人のツレで倒したらしいし・・。しかも大葉、毎晩そこらの女とヤってるらしいよ・・。」

「へー。」

ニヤニヤしてジェスチャーをつけながら話す晴香の動きが私の返事によって止まった。

「・・・何、アンタ。恐くないの?」

「恐いよ。でも何もしないじゃん。私達に。だから大丈夫だよ。」
私の言葉に晴香はあきれたように手を額にあて大きくため息をついた。

「アンタ程変わってる奴はいないわ・・。」

「そおかな?」

キーんコーンカーンコーン
昼休憩終わりのチャイムが鳴ったため、私と晴香は教室へ向かう。