「ひ、姫様?!いけません!幾ら憎くても呪いを掛けるなどと!姫様自身にも呪いが…」


侍女のナタリーが呪文を唱え始めた私に向かって遮るかのように言葉を発した。


「ではどうしろと?ただ黙って見ていろとでも?」

「姫様、あの方にやって頂きましょう」

「あの方って?「賢人様です姫様が異世界から呼び寄せたあの男です!あの者ならばきっとやってくれる筈ですわ」

「そうなの?信用して大丈夫なのかしら?」

「大丈夫ですわ姫様!何でもあの男リルモンド王家に並々ならぬ思いがあるようですので」


ナタリーはそう呟くと私に向かってやんわりと微笑んだ
私が偶然異世界から呼び寄せた男
確か名前は横沢賢人とか言ったかしら?あの女は目障りで堪らないけれど
呪いを掛けて自分も呪われたんじゃ
たまったもんじゃない!
あの、賢人とか言うあの男がやってくれるならこんなにいいことはないわね!とりあえず機嫌を損ねないようにしないと…


私は思いを新たにすると深呼吸をして立ち上がり歩きだしていた
賢人に会う為に…