「美結、アーサ−の傷のこと聞いたわ!ありがとうね、たいした傷じゃないのに大騒ぎしてあの子迷惑掛けちゃったんじゃない?」


「そんな…あたしこそ怪我させちゃってごめんなさい」

「謝らなくっていいのよ~あの子が勝手に転んだって聞いたけど…そんなことより美結!あなたのことよ、あの子が怪我した膝小僧に手をかざしたら白い光が出てあっという間に治ったって言うじゃない」

馬車に揺られながらあたしは昨日の
出来事をマ−シーさんと話していた
あたしが黙っていても当然のことながらアーサ−くんから話を聞くわけで…あたし自身も自分に起きた信じられない出来事に何と言ったらいいかわからず正直困惑していた

「マ−シーさん…あたしどうしたらいいのかわからなくて…」


「そうよね、美結が混乱するのも無理もないわ!だって美結のいた世界は魔法が無いって言ってたものね~でも
今の美結には間違いなく魔力があるって言えるわ、それがどれ位あるかはわからないけれど」


マ−シーさんが言うにはあたしがアーサ−くんに施した魔術は癒やしの術でリルモンド国内でも出来る人は極わずか、出来る人でも風邪のような軽症の患者しか無理って人が大多数なようだ。だから重症患者は薬で治療するって言うのがこの国の定説みたい、施術したのがかすり傷程度だったけれどあっという間に治療したって言うのが驚きだったようだ


だからあたしがこの魔術を使えるとなればかなり希少な人になるんだってことらしい

でもあたしはどうしたらいいんだろ
この国でどう生きていけば?
魔術を使えるだなんてあたしにそんな大それた力があるなんてあんなのただの偶然かも知れないし!


なんだか無性に怖くなったあたしの頭の中に王子の顔が一瞬過ぎる
逢いたいな…素直にそう思う自分がいた