いちご




「またツレとでも来いよ。サービス致しますよ~」


「とことんしてね?」



しばらく歩くと、十字路の交差点へと差し掛かり、夏希が足を止めた。


たくさん夏希に挨拶をしてきた人々は、数え切れなかった。



「この辺に居るみてえ~…なんだけど?」


「え。この辺?」



キョロキョロと見渡すが、沢山の人だかりで視界が遮られてしまう。


「……まじ勘弁…」



あー!!!!るぅの声がしたー!!!!


「るぅ?るーうー!!!!」



声のした方へ人混みを駆け抜け、周りを見渡した。



沢山のネオンと雑音が、瑠衣斗の姿を消してしまっているようで、必死に辺りを見渡した。


「え~…るぅ…?」



夏希を置いて思わず駆け出してしまい、ひとりぼっちになってしまったような気がした。


……私も迷子なっちゃった。



……………やべぇじゃん!?



「どうしよどうしよ…」


キョロキョロ見渡すが、背の低い私には視界が開けない。


でも、この辺りに居るには違いないし、きっと見つかるはずだ。


そう気を取り直した時、ふいに目の前の視界が陰った。



人にぶつかってしまうと思った私は、同時にグッと身を固めた。