いちご




私の手から慶兄がそっと手を離し、思わず手を拳にして慶兄を見上げた。


「…ありがと…」


ポカンとしている私に向かって、慶兄は優しく微笑み返してくれる。



グーにした手に視線を移し、ゆっくりと開いて手のひらを見つめた。



「…コレって……」


「いつでも来れるように」



開いた手のひらには、鍵が乗っている。


つまり、コレって…コレって………。



「合…鍵?」


「そう」



パッと顔を上げ、慶兄を見上げた。


サラサラと風になびく髪を、片手でかきあげる慶兄に釘付けになってしまう。



目を細めた慶兄に、胸がドキドキと高鳴っている。


顔が熱くなるのが分かるが、そんな事も気にする余裕がない。



「い…いいの?」


「お守りだって言っただろ?有効活用するように」



顔が…熱い。胸がドキドキ苦しい。


予想もしなかった出来事に、私はただ慶兄を見つめるしかできなかった。