「ありがとう」
門のすぐ近くに車を停められ、何故か恥ずかしくなる。
送り迎え……目立つ…。
お昼時もあって、人の出入りが大学の門は激しい。
急いで車から出ようと、シートベルトを外すと、何故か慶兄もシートベルトを外して、不思議に思った私より先に車から降りてしまった。
……ん??
助手席へ回ってきた慶兄を目で追いながら、慌てドアを開けて車から降りた。
「…どうしたの?」
「ん?ちょっとなあ」
ちょっと?と首を傾げた私に、慶兄は拳にした手を私に向かって差し出した。
は、恥ずかしい…みんな見てるぅ!!
そんな私に対して、慶兄は全く気にならない様子だ。
「…え?なに?」
そう言って慶兄の拳と顔を見比べた私の手を取り、私に拳の中身を握らせた。
「お守りだ」
手を重ねたまま、慶兄はニッコリと笑った。
何だか…お守りにしては固い気がするけど?
「お守り…?」
「うん」

