「お待たせ~」
ドアを開けると、薄く窓を開いて慶兄が煙草を吸っている。
「お。お帰り」
窓枠に肘を着いて煙草をもつ手から、外の風に乗って煙草の煙が流れている。
「お願いします」
「はいよ」
シートに座ると、シートベルトをして膝に鞄を置き、前を向くと同時に車が動き出した。
瑠衣斗に会ったら、まず何て言えばいいのだろう。
流れて行く景色を眺めながら、私の頭の中にはその事で一杯だ。
またあの子が来たら………。
黒い渦のようなモノが、胸をぐるぐる渦巻いている。
私は、また逃げてしまうんじゃないか。
二人を見る事ができるんだろうか。
晴れない気持ちが、私のマイナスな考えを加速させる。
「終わったらメールでも入れておいてくれな。電話だと出れないかもしれない」
慶兄の言葉で現実に戻された私は、ハッとして慶兄を見上げた。
私…またるぅの事考えてたんだ。
見上げた慶兄は、明るい太陽の陽射しで、髪が茶色く見える。
瑠衣斗に似た横顔を、胸が締め付けるような感覚で見つめた。
「…うん。ゴメンね?」
本当にゴメン………。

