「学校…行くのか?」
行けるのか?とも聞き取れるような慶兄の心配した声に、思わず顔を見上げた。
「うん。行く」
心配掛けないよう、笑ってみせたが、さっき洗面所で歯磨きをする時に鏡で見た顔は、とっても可哀想な事態になっていた。
「俺は今日、昼から夕方くらいまで病院に居なきゃいけない。ももは講義は何時から何時までだ?」
「うんと…お昼前から、今日は最後の講義まで取ってあったはず」
だから時間帯的には、慶兄と似たような物だ。
社会人と学生じゃ、時間の重さも違いすぎるけれど。
「じゃ、送り迎えしてやるよ。つーかする」
嬉しそうにニッコリ笑う慶兄は、花が咲くように鮮やかに笑っている。
「なにそれ…強制なんだ?」
強引な意見に、思わず笑いが漏れる。
慶兄って、こーゆう強引な所たまにあるんだよね。
「当然。異議でもあるか」
「ないない。分かったよ」
何故か意地になる慶兄が、可笑しくて笑ってしまう。
何か可愛いな…こう言う所。
くすぐったい気持ちが、私の曇った心をポカポカと暖めていくように、気持ちがホッとして暖かい。
「…ありがと。慶兄」

