いちご




「け…けいに…?」



え、ちょっと何この雰囲気。


私がとまどっている間、手は後頭部に回されていた。



な、何か言った方がいいのか!?


慶兄はそんな私を、真剣な表情で見つめ続けている。


心臓があり得ないくらいバクバク騒ぎだした。慶兄とこんな雰囲気なんてなった事ないし!!



て言うか私にはあまり免疫と言うモノが存在しない訳で!!



………困った。



目が離せないままでいると、慶兄の表情がふっと緩んだ。



「28のじじぃの独り言だと思ってくれ」


「…じじぃ…ぢゃなくない?」

「二十歳に言われたくねぇなぁ」


クスクスと笑う慶兄に、ほっと肩の力を抜いた。慶兄の手は、また私の髪を撫でていた。



…びっくりした。心臓に悪いよ心臓に。