初音と詩音は手をつなぎ、その場を離れる。初音は気になっていたことを訊ねた。

「そういえば、どうして私のところに来たの?まだ連絡はしてなかったんだけど」

「ちょっと気になってね。初音の家族とさっきのことを話したかったからさ」

「じゃあ、あの夜に言いかけていた言葉は何?」

「あれはーーー」

詩音は耳を赤くしながら、初音の耳に口を寄せる。そして、囁いた。

「君はもう、僕の家族だよ」

ずっと結婚を考えていてくれたことに、初音は幸せでいっぱいになる。もしかしたら、人生で一番幸せな瞬間なのかもしれない。

「初音、婚約者さんも同窓会に参加してよ!色々話を聞きたいし!」

友達に言われ、初音は「うん!」と頷く。詩音も微笑んでいた。

大人になった特別な日は、いつもより煌めいている。