「僕は本気だよ。君と家族になりたい。この家族から初音を助けたい。初音、結婚しよう」

優しく手を取られ、初音は涙をこぼす。生まれて初めて嬉しさから泣いた。

「はい、私でよければ喜んで」

友達が「おめでとう!」と拍手をする。成人式に来た多くの人も拍手で祝福してくれた。初音の薬指に指輪がはめられ、二人は微笑む。しかし、「待ちなさいよ!!」と妹が怒りの声を上げた。

「そのイケメン、初音の彼氏ってこと!?ずるい!!私の彼氏になってよ!!私の方が可愛いじゃん!!」

両親も「そうだ、そうだ」と言い始める。初音の手を取ったまま、詩音は両親たちを見つめた。

「僕は、初音しか妻に選びたくありません。初音と僕らの間に生まれた子どもを大切にしていきます」

詩音の強い眼差しに、初音も言いたいことを言う覚悟を決める。そして、両親と妹を見つめた。

「私の家族は、詩音さんとそのご両親だけです。あなたたちとはもう永遠に会いません。さようなら」