京の都 陰陽師

吉備に来て、ひと月が経とうとしていた。
「あたしの式神を、都の屋敷に置き、掃除させますね。」
「そうやな。」
式神が、掃除していると、右大臣が来た。
「なんだ。
まだ、晴明達は、戻っておらぬのか…。
仕方ない。
また、来よう。」
式神は、右大臣に話しかけた。
「何があったかだけ、お聞きしたいのですが、よろしいですか?」
右大臣は、事情を話した。
「では、この事を、晴明様にお話ししておきます。」
右大臣は、帰った。
式神は、珱姫に話し、珱姫は、晴明に伝えた。
「ふぅ…。
僕の出る幕じゃないんやけど…。」
「そうですね…。」
そして、都に帰る時、やえことさやこが、見送りに来てくれた。
晴明と珱姫は、手を振り、都へと向かった。
都に戻ると、右大臣が来た。
「晴明。
お主に話がある。」
「何でしょう?」
「わしの息子を見て欲しいのだ…。」
「それは、出来ません。
僕の地位には、違う人が居ます。
その人に頼んでください。
僕は、手を出せません。」
「なにっ?!」
「僕の地位を落としたのは、右大臣様です。
僕の地位に就いてる人を無視して、僕が出ることはできません。
お帰りください。」
右大臣は、帝に、話したが、帝にも同じ事を言われてしまった。
右大臣は、晴明のところに行った。
「頼む。
地位を戻す。
だから、助けてくれ!!」
「地位が戻ったら、お助けしましょう。」
「すぐに、戻そう。」
右大臣は、晴明の地位を戻した。
晴明は、右大臣のところに行った。
「晴明、頼む。」
「ひと月、この状態だったんですか?」
「いや、前の者が、術を施してくれたのだが…。
それでも、この状態で…。」
「なるほど…。」
右大臣の息子は、また、何者かに、呪われていた。
「また、呪詛をかけられております。
また、呪詛返しします。
今回こそ、誰が、かけてるか分かればええですけど…。
とりあえず、呪詛返ししますので、準備に取り掛かります。」
晴明は、準備に取り掛かった。
「今回も、外で、お待ちください。」
晴明は、皆を出し、呪詛返しをした。
「呪詛返し、終わりました。」
右大臣は、綺麗になった、息子を抱きしめた。
「晴明。
今回、誰がかけたのか、分かったか?」
「はい、
分かりました。」
「誰だ?1!」
「左大臣様の抱える、陰陽師です。
彼は、式神を使い、呪詛をかけていたらしく、呪詛返しをしても、呪いは、式神に行くようになっていました。」
「な…、なんと…っ!!
今回のは、どうなったのだ?」
「今回のも、式神が、呪いを受けました。
このままでは、毎回、呪詛をかけられるでしょう。」
「そ…、そんな…。
どうすればいいのだ…。」
「このまま、何度も、呪詛返しするしかないかと…。」
「左大臣の陰陽師に、直接何かできぬのか?
呪詛をかけるとか…。」
「陰陽師に直接ですか…。
こちらも、式神を使い、呪詛をかけてみましょうか…?」
「出来るのか?」
「やってみましょう。」
晴明は、式神を出した。
そして、式神を使い、呪詛をかけた。
左大臣の陰陽師は、病に倒れた。
「これで、左大臣様の陰陽師からの呪いは、こないでしょう。」
「ありがとう!
晴明!!
この後、あの陰陽師はどうなるのだ?」
「死にはしませんが、相当、苦しむ事となるでしょう。」
「そうか。
良かった。
良かった。
これで、我が息子に呪いをかけれまい!」
右大臣は、笑った。
左大臣の陰陽師は、元気になったが、その後、呪いをかける事はなかった。
その後も、晴明と珱姫には、色んな人から、依頼があったが、二人で、仲良く、陰陽術を使って、助けていった。