大人になんて、ならないで。







「安井さん、送りましょうか?」



「いえ!
このまま遠野さんの家に行くので…」



「そうですね…遠野さんの家の場所を勝手に知るのは良くないですね…
遠野さんに怒られちゃいそうですしね」




『気をつけてくださいね』と言ってから、部長は手を振って帰り道を歩いていった。



……私も早く帰らないといけないけど…



真矢くん、まだ友達と一緒かな…。



連絡した方がいいかなと思ってスマホを見ると




「え!」




着信が何件も入っていた。



しかも全部、真矢くんから。



この数分で…なんでこんなに?



仕事でマナーモードのままだったから、全然気付かなかった。



真矢くんに電話をかけようとしたら



またスマホが着信を知らせた。




「わわ!」




びっくりして、指が通話ボタンに触れてしまった。