大人になんて、ならないで。





スーパーで買い物を済ませると、



先に会計を済ませていた部長が、外にあるたい焼き屋さんの前で待っていた。




「安井さん、どうぞ」



「ありがとうございます…」




焼き立てでホカホカのたい焼きを受け取って、



『いただきます』と部長に声をかけてから、たい焼きを一口かじった。




「美味しいですか?」



「ん…おいひいです…」




熱くて『美味しい』って言えなくて、



フーフーしてたら、部長がハハッと笑った。




「安井さん、慌てなくていいですよ」



「でも、あったかいうちに食べないと!」



「それもそうですね」




部長も、熱いって言いながらもたい焼きを美味しそうに食べる。



私は頭から食べるとか、部長は尻尾からなんですねとか、



そんな話をしながら、部長と一緒にたい焼きを味わった。