大人になんて、ならないで。






「大人なのに察しが悪くてすみませんね」




唇を尖らせて、コンポタの缶を握り直すと



その手を、真矢くんの手が包み込んだ。




「子どもみたいに拗ねないでよ」



「……」



「まぁかわいいけどね」




それだけ言って、



真矢くんは強引に私の手を掴んで、少し寒い夜の道を歩き出した。



……また、思ってもないこと、軽々しく言う。



リップサービスは達者で、感心する。



……相手は高校生なのにな。



その言葉も、強引に掴まれた手も、



妙に“男”を意識してしまって、落ち着かない。