どうしたって、忘れられるはずがなかった。



真矢くんの家の花壇に咲いていた、コスモス。



あの日のことを思い出すことは、簡単だった。





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『めぐちゃん』



『……っ!
あ、な、なにかな?真矢くん』




公園のベンチに座っていた私に、



小学生の真矢くんが心配そうな顔をして声をかけてきた。




『どうして、ないてるの…?』



『……なんでかなぁ。
変だね、へへ』




高校一年生の私は



6ヶ月付き合ってた先輩にフラれて、誰もいない公園でこっそり泣いていた。



そしたら、ランドセルを背負った真矢くんが…



恋愛なんて、なにも知らないような純粋な瞳で私を見る真矢くんが、



その小さな手で、私の頭を撫でていた。