大人になんて、ならないで。





実家に着いて、俺は急いで公園の方へ走った。



傘をさすのも忘れて、公園に入る。



こんな雨の中、誰もいるわけない…



きっともう、めぐちゃんは帰ったんだと、安心して姉ちゃんの車に戻ろうとした。



その瞬間



携帯の着信音のようなものが、雨の音に混ざって聞こえた。



俺のじゃない…



じゃあ…



もう一度公園を見回す。



生垣の奥にあるベンチから、何やら光が漏れている。



……まさか。



走ってそこへまわると、光の正体はスマホが光っていたからで…



『真優』と書かれた着信画面と



ずぶ濡れでぐったりとベンチに横たわる…めぐちゃんを見つけた。




「……めぐちゃん…?」




肩を揺すっても、めぐちゃんは目を閉じたまま…。




「……めぐちゃん…っ!!」




ぐっと唇を噛んで、めぐちゃんのスマホをポケットに入れ



俺はめぐちゃんを抱えて、実家まで全力で走った。