大人になんて、ならないで。




今度は切ない笑みを浮かべる。




「……よく考えてくださいね。
好きという気持ちだけで、見えない未来を追い続けるのか、
目の前にある約束された幸せを手に取るか…」




部長の手が、スッと離れた。



……約束された幸せ?



部長と結婚すれば、絶対幸せになれるの…?




「……部長」



「はい」



「……どうして、私なんですか?」




部長だって、モテるし



もっと相応しい人がいる。



それなのに、私を選ぶ理由がわからない。



その他大勢の中の一人なら…幸せなんて思えないよ。




「……俺、違う部署からの異動だったでしょ?
前にも言ったように、いきなり若いヤツが上に立つことを良しとしない人がいて。
あっという間にデマの噂が流され、
表には出さないようにしてたけど…あの会社にいると気持ち悪くて。
前の部署よりストレス感じてた…。

そんな時に…貴女に会った」