大人になんて、ならないで。





「……食べてないけど、
でも、めぐちゃん疲れてるだろうから…
俺のことなんて気にしなくていいよ」




……気を遣ってくれたんだ。



高校生に気を遣わせるなんて。



私はダメな大人だなぁ…。




「私がお腹空いたから作ろうと思って…。
真矢くんの分も、ついでに作るよ」



「え…いいの?」



「冷凍のだけど…いい?」



「いいよ。十分。
ありがとね、めぐちゃん」




水が滴り落ちる髪の隙間から、真矢くんの瞳がのぞく。



シャワーを浴びた後だからか、顔が火照っていて、妙に色っぽい。




「じゃあ…あの、作ってきます…!」




そんな真矢くんと目線を合わせるには、心臓がうるさすぎて。



その視線から逃げるようにバタンと浴室のドアを閉めた。