「やめてってばぁ……」 ぞくぞくしすぎて涙腺がゆるんだのか、涙がたまっていた目から、ぽろっと零れおちた。 その瞬間、ばっちり目が合っちゃったの。 ――っ、恥ずかしい! 目をぎゅっと閉じて顔をおもいっきり背けたら、両腕に入れられていた力が一気に抜けて。 呆気にとられた一瞬。 「……ごめん」 そう言ってあたしから離れた朱里くんが、大きな両手で自分の顔を覆いながら天井を仰いだ。 「やっ、ちゃっ、たー……」 ため息でできた絶望の声が聞こえた。