【完】君に惚れた僕の負け。


熱くなっていく顔を背けると、朱里くんの目の前に向いてしまった耳を。




まさか、かじられるなんて。




「あ……んっ」




背中がぞくぞくっとして、目をぎゅっと閉じた。



心臓がバクバク言ってる。



「声やば……」



ヤバい声でわるかったですね……っ。



「もう、やめて……!」



どうせ男慣れなんかしてないから。


からかわないで、悪趣味!




「はぁ……。恋々、まじでやばい」



だから、ヤバくてわるかったですね……、もう放してよ!




なんでこんなに力強いの?



空手だ。空手で鍛えたせいだ、きっと……。



――ちゅ。



耳元で聞こえたリップ音。



何度も、なんども首元にキスが落ちてくるの。


「……っ、や」



そのたびに声が出そうになる。ぞくぞくして、へんになりそう。



「っん、……っ」



もう……女たらし……。