「とりあえず一年間、恋々をよろしくお願いします」 あたしの両親が朱里くんとご両親に頭を下げた。 両家の話し合いはあっさりと済んで、あたしは朱里くんと一緒にうちのマンションで暮らすということになったのだ。 ……っ、ばいばい、バンクーバー。 両親が旅立った今、こみ上げる喜びをかみしめながら、目に入った飛行機へ手当たり次第に手を振っている。