すがるような目に、朱里くんは明らかにひるんでいるんだけど。


でも、最後の日だから、昔みたいに喋りながら寝たいんだ。


そうでもしなきゃ、この空っぽみたいな気持ちが紛れる気がしないの。



「えーっ、と……」


朱里くんは困ったように後ろ頭を掻いて。


それからあたしを見る。


「……」


視線はあっている。

だけど何も言わない。


ちくたくと時計の音が耳につくようになった時。


「ふ……っくしゅ!」


こんなに静かな部屋に豪快に響いたのは、あたしのくしゃみ。


恥ずかしいー……っ。



顔を覆いたくなった時、朱里くんがあたしの肩をそっと押した。



「……いいよ。一緒に寝よ」