どうしても眠れなくて、ベッドから起き上がった。


もし朱里くんが起きてたら、もう少し喋りたい。

もし寝てたら、あたしもおとなしく寝る。


そう決めて、あたしは部屋を出た。



朱里くんの部屋の前に立って、ノックしかけた手を止める。


寝てると悪いし音をたてないようにしなきゃ。



そう思って、静かにドアを開けた。


細く開いた隙間を覗き込みながら、もう少しドアを開けて。


――キィ。


「……っ!びびったぁ……!何?」


飛び起きた朱里くんにこっちが叫びそうなほどびっくりしたよ!



「ごっ、ごめん……!」


「……お前今の出方はホラーすぎだから」


「起こしたら悪いと思って」


「完全に目ぇ覚めたわ」


呆れっぽく笑う朱里くんは、手を伸ばしてカーテンを開ける。部屋にうっすらと月明りが差し込んだ。



そして優しく問われた。



「どーした?」


あたしの気持ちを見透かすように、朱里くんはベッドに座って、隣をポンポンと叩く。


「座れば」


「うん、ありがと」


「寂しくて寝れないの?」


やっぱりお見通し。さすが朱里くん……。


頷くまでもないけど頷いたら肩に毛布を掛けられた。


「冷えるから暖房入れんね」


そういって立ち上がろうとした朱里くんの腕を止めた。



「……一緒に寝ない?」