【完】君に惚れた僕の負け。



(SIDE朱里)

いってぇ……。


「最近力加減おかしいんだって」


「しゅ、朱里くんが悪いんじゃん……」



どう考えても恋々が悪いだろ。


――『朱里くんとあたしの子供は音痴だね』


はぁぁぁぁ?って普通なるだろ。


天然って怖い。心臓バックバク言わされてて怖い。





カラオケを終えて、恋々が行きたがっていたケーキ屋についた。


ここの紅茶とケーキがすっごくおいしいの!だそうで。


ログハウスのような店内に入って、温かみのあるライトブラウンのテーブルについた。



恋々のもとへ運ばれてきた紅茶はガラスのポットに入っているんだけど。


黄色やピンクのなにかが入っている。


「……それ、なに?」


「お花の紅茶なんだよ」


「花……。女子だなぁ」


「……え、女子……?」


顔を赤らめて紅茶をカップに注いでるけど、なんでそんな照れてんの?


ほかにも照れるべき時いっぱいあったと思うけどね。


今日を振り返りながら呆れの気持ちで眺めていたら、恋々の紫芋のタルトと俺のりんごのタルトも運ばれてきた。


「おいしそう……これって写真とってもいいかなぁ?」


「いいみたいだよ」


「じゃあちょっと」



皿を寄せてスマホを構えてる幸せそーなその顔ね。


俺はそっち撮っとく。



――カシャ。



「え!?なんであたしをとったの!?」


「間抜けな顔してんなーとおもって」


「消して……!」


はい、無視。


「撮れた?たべよーぜ」


「もう朱里くん消してってば……っ!」


うるせーな。



りんごのタルトを割って一切れフォークで取った。



「食べるだろ?」


「え……うん。ありがとう」



恋々を黙らせんのなんて楽勝なんだよ。


「おいしい……っ」


ほら単純。


火照った顔で幸せそうに目を細めて。


可愛すぎ。もっとあげたくなる。