触れられたこと、全部嬉しかったくせに。 朱里くんの心がどこに向いていようと、目の前の朱里くんがあたしに手を伸ばすことは間違いなく嬉しかったのに。 冷静になればなるほど、言葉を取り消したくて仕方ない。 “思わせぶりしないで”なんてよくいうよ。 思わせぶりでも触れられたいくせに。 ……後悔先に立たず。 思いっきり傷つけられた朱里くんが出て行くのも当たり前のこと…。