【完】君に惚れた僕の負け。

「朱里くんが……。よく知りもしない人と付き合ったら怒るかなって思って」


それは本当にそう思う。


”ちゃんとしろ、このバアアアアアアカ”って言われそう。


『へぇ。恋々にしてはいい判断じゃん』


ふっと笑う声が聞こえる。


朱里くんの声もちょっとご機嫌に寄ったかも。



「……はやく会いたいな」


『それは……俺に?』


「うん」


『……へぇー』


会いたいよ。


声聞いてたらもっと寂しくなってきた。


「朱里くんは?」

『え?』

「あたしに会いたいなって、思う?」

『……な』

「な?」

『……お前はなんでそうなの?』



笑い混じりの呆れっぽい声が聞こえてきた。


なにに呆れてるの?


首をかしげていたら、電話越しに聞こえてきたの。



ちょっとだけ、照れくさそうな声で。



『……すげー会いたいよ』