【完】君に惚れた僕の負け。



火照る頬をバシバシと2発叩いてから、ホテルの部屋のドアに手をかける。


「ただいまぁ」


って部屋に戻ったら誰もいないの!


「え、みんなどこ!?」


押し入れにもいない、トイレにもいない。


こんなことって……ひどすぎる……。


半泣きでテーブルに目を移すと、”505号室にいるから恋々も来てね”と置手紙があった。


「なんだ……よかったぁ」


505っていうとクラスの男子の部屋だ。


あとで行こ。


まずは、朱里くんと電話。


さっきの不在着信はやっぱり朱里くんからで、名前をタップした。


まだ起きてるかな。なにしてるかな。

はやく声が聞きたい。



1コール、2コール鳴るごとにどんどんドキドキが激しくなっていく……。