【完】君に惚れた僕の負け。



「あの……用事って何?」


急かすみたいで申し訳ないけど、早く朱里くんに電話したくてたまんなくなっちゃって……。



「俺、棚池さんのこと、前からほわわーんとして可愛いなって思ってて……その。好きです……」


……なんて言った?


好きって言われなかった?



「え」と思わず硬直……。


「それで、俺と付き合ってほしいんだけど……」



ザザン……――。
波音がやけに大きく聞こえた。


これは、間違いなく……人生初めての告白。


なのに、まだポケットの中で震えるスマホに気が行ってるなんて。


「ごめん、いきなりで困るよね。棚池さんがよければお試しみたいな感じでもいいから、俺と付き合ってみない?」


頬を掻きながら顔を赤らめる彼を見上げながら、心臓がバックバク言ってた。


対するあたしの返事はとっても、か細かった。