「……でもあたし、朱里くんの前ではいつもお姉さんらしかったでしょ?」



「そっちはそう思ってるみたいだよね」




はぁっと呆れ笑いの朱里くんに言葉を失う。




「ま……まさか、あたしって頼りにならなかった……?」




そんなことあるわけ……ない。

とも、言い切れないかもしれない。




初めての大発見に天地がひっくり返って、絶望しかけたとき。




「……いーの。恋々は抜けてても」



ぽんと背中を叩く大きなてのひら。



「むしろ、抜けてた方がいい」



そう続ける朱里くん。



見上げる先、三日月の下で朱里くんはいたずらっぽく笑っていて。




「……俺がいなきゃ何にもできない人になればいいよ」



どうしてかわかんない。


からかわれているだけなのに、俯きたくなるくらい、ドキドキした。







14.年上の恋々お姉さん
(仕方ないから俺が面倒みてあげる)