【完】君に惚れた僕の負け。

ひゅーっと高い音が空気を震わせ、体に響く破裂音。



「わぁ。綺麗……っ!」


花火会場の片隅、はしゃぐこいつと見上げる夜空。


赤い花火に恋々の頬が照らされる。



時々、視線の先にある木が邪魔なのか、恋々は体をゆらして、見える位置を探すそぶり。



「……もっとこっち来なよ」


小さな肩を抱くと、シャンプーなのか女の子っぽい甘い匂いがした。


「うん」



ほんの少し恥ずかしそうな顔に目を向けたとき。



スットーンと、
視線が自動的に落ちた。



開きかけた襟元から、今日も恋々のセンスが炸裂した、いかがわしい下着が見えそうになってて……。



何なんだよお前。