【完】君に惚れた僕の負け。




そうして夕方、祭りに行くために浴衣を着ている。


浴衣の着方は動画サイトでお互い検索して試行錯誤した。



「着れたよー」


と、にこにこ現れた恋々は、意外と。


「まじでちゃんと着れてんじゃん」



藍色の椿が描かれた浴衣を見事に着ている。


「朱里くんすごい……!完璧だね」


恋々は楽しそうに目をきらきらとさせながら俺の周りをくるっと一周した。



「はしゃぎすぎ」


こつんと、頭を叩く。


「だって楽しみなんだもん」



愛嬌たっぷりの笑顔で、「早く行こ?」と俺の手を引く恋々はすでに楽しそうだ。



俺は「はいはい」と赤い帯の後ろについていく。


そう、最初こそね。恋々の浴衣も上手に着れたもんだなって思ったんだけど。



冷静に考えれば、恋々がそんなうまくできるわけないじゃんね?