【完】君に惚れた僕の負け。

そうだよな。

なんで気付かなかったんだろ。


こんなの、海なんて公共の場で、
ましてほかの男に見せるわけないじゃん。



「恋々、早くそれ脱いで」


「え!?」


って両手を胸元でクロスしてガードしてるけど。


そういう意味じゃねーよ。あほか。



「さっさと服着ろ。帰んぞ」


「え、どうして?」


「たった今、海はナシになった」


「えぇ!?なんでぇ!?」


「声うるさ」


試着室に恋々を押し戻して、俺はもう一度寿限無を三周。


服を着てカーテンから出てきた恋々のこんがらがった襟、なにそれ。


そばに引き寄せて、襟をなおした。


「……ありがと」


お礼の割に、不服そうな声。


案の定、拗ねてんね。