【完】君に惚れた僕の負け。

「もう一個の方着てみる……」



しょんぼりとカーテンの向こうに消えた。


さっきまであんなに楽しそうだったのに、なんかごめん。


そう思って、カーテンの奥に声を投げかけた。



「そっちの水着はきっと可愛いと思うよ」


「え? うん!」



……本当に、お前簡単だな。

単純明快。



アホっぽいとこ、好きだけどね。



「着れたよ」



今度は自信ありげに出てきた。



赤のギンガムチェックのオフショル。


……なんで?



ふつうの水着より服っぽいしデザインだってカジュアルなはずのに、何がこんなエロいの?


恋々は俯き気味に恥ずかしそうにはにかんで、白い腹に両手を当てる。



「どうかな?」



俺を見あげた上目遣い。俺の言葉を待てば待つほど不安そうな顔になっていく。



この数秒で、俺は悟った。




――恋々は、水着を着ちゃいけないんだ。