【完】君に惚れた僕の負け。

恋々の手を引いて、場所を変える。


「お前まじで悪趣味極まりないな」


「え……かわいくない?ほら、流行ってるみたいだよ?」


確かに、あのギャルっぽいお姉さんはさっきの水着の黒を購入予定みたいだけどな?


お前そこの全身鏡で見て見ろよ。


顔も雰囲気もほわわーんとしてんのに、なんでそんなもんが似合うと思うんだよ。


色んなモシカシテが沸いてくるだろ。



「恋々は色白だから、白着たらなんか……。ピンクとかラベンダーとか似合うんじゃね?」


「ラベンダーいいねぇ、可愛い」


声を弾ませて目を細める、ご機嫌な口角。


「恋々、これは?」


比較的、露出が少なくて見ようによっては服に近いような水着を指さした。

胸元のフリルも目立つし。


「これならいいんじゃねーの?」


そう言って指さす先を確認すると、「えー、」ってすげー不服そうな声だな。


かと思えば恋々の人差し指が、マネキンを指した。


谷間をリボンが締め上げたきわどい水着を着るあのマネキンを。



「あれかわいくない?」


じゃねーよ。


「まじでお前センス拾ってこい」



問答無用にざっくりと斬られた恋々は、しょんぼりと俺が提案した水着を手に取った。


「これもまぁ、可愛いから着てみるね」


「あとこれも持ってけ」


水着ってよりは服っぽいから、いいんじゃないの。


「あぁ……うん。それもね。着てみる」


選んでやってんのに文句っぽいなぁ。この女……。