ほんとはその唇、今すぐ奪いたいけど。


バカにはそういうことできないから。俺、紳士だし。



口元についたチョコを指先でやさしくぬぐった。



「……とれたよ」



泣きそうにも見えるその困り顔。



真っ赤で、へろへろで、潤んだ瞳は俺を追う。



「……ありがと」



なんでお礼言ってんの。


呆れるわ。

思わず笑っちゃったよ。



「……ほんと馬鹿」