「……モトカノ」 どっかーんと降ってきたパワーワードに、ふらっとした。 「元カノ……」 「なになに? 気になんの?」 やけに楽しそうな声色だと思ったら、顎をくいっと持ち上げられて。 首を傾げ、馬鹿にするように笑う朱里くんが視界いっぱい。 悔しいけど……でも正直図星なの。 「うん、ちょっとだけ。ほんのちょっと気になる」 なんでかよくわかんないけど、なんかもやもやするの。 「え」 朱里くんの指先があたしの顎から外れた。