野菜を切って炒めて煮て、さてカレー粉を入れようって思って火を止めたとき、ちょうど朱里くんが帰ってきた。 「ただい」「おかえり」 被せ気味におかえりって言っちゃうくらい待ってたよ。 エプロンのまんま、カレー作りを途中でやめて朱里くんに駆け寄る。 「ねぇ朱里くん、亜瑚ってだれ?」 「え?」 一瞬ぽかんとした朱里くんは、にやりと笑ってから、のんびりと答えた。