「じゃあ朱里くんが毎日すごい早さで家についていたのって……」 引きこもりの傾向を疑うほど家が大好きなんじゃなくて。 「あたしのためってこと?」 「……それでいーんじゃないの」 手を拭き終えたタオルをべしっとあたしの頭にかけながら横をすり抜ける朱里くん。 パタン、とドアが閉まった。 「なにそれ……」 ふぅ……。どうしよう。 胸の奥、変な感じ。 「うれしい……」 思わず零れた声。 鏡に映ったあたしの顔はおでこまで真っ赤だった。