◇ 「ただいまぁ~」 って言ってみたものの、玄関に靴がない。 珍しい……。 朱里くん、まだ帰っていないんだ。 なんとなく、寂しい玄関を眺めていると。 玄関のドアが勢いよく開いた。 ーーバァン! 「わっ、びっくりしたぁ……」 追手でも撒いてきたかのような勢いに、目をぱちくりさせる。 「お、おかえり。朱里くんどうしたの?」 「ごめん、遅くなって」 ポンポン、頭を叩かれて、追い越された。