心臓はどきどきしていて、わけわかんなくなりそうだけど。
そんなつらそうな顔見たら……あたしも悲しい。
「どうしたの……朱里くん?」
何でそんなに切なそうな顔するの?
あたしに教えてよ。
朱里くんのためならいくらでも力になるよ。
そうおもってあたしは、壁をドンしてるその体に両手をそっと伸ばして、優しく抱きしめた。
「大丈夫だよ。あたしがついてるから」
硬い胸に耳をくっつけてぎゅうっと心を込めて、あったかく包み込む。
――ドッドッドッドドドドドドド。
「あ、あれ?朱里くん、心臓が!」
とんでもなく速い!
そう言った瞬間、がばっと体を引き離された。
「……こ、この。バァアアアアアアカ!!!」



