「ヒナは?池田君とデート、どうだった?」



「……あのね、」


ヒナがあたしの耳に手を添えた。



「なになに?」



「手つないじゃった……」



「えーっ!すごい……!よかったねぇ」




頬を赤らめて、目を細めるヒナの恋する乙女顔。




そんなヒナが声を落として、神妙な面持ちで言う。



「手、つないでくるってことは、私のことちょっとは好きなのかな」




あたしは一瞬でいろんなことを考えた。



かおなしみたいな声を出してみたり、クールな割に照れ屋さんな彼が、ヒナの手をつなぐってこと。



その意味って言うのは、朱里くんやふうちゃんみたいなヘリウムより軽い男子がするのと訳が違う。




確信に満ち溢れたあたしの目はきらきらと輝いてると思う。




「うん。そうだとおもう……!」



コクっと頷くと、ヒナは嬉しそうに「そっかなぁ」って。



もう、幸せそー……っ。いいなぁ。



恋々なんて名前つけてもらったのに、あたしって、恋したことないなぁ。



なんかちょっと、羨ましいな。