「恋々って、アルファベット読めないんだっけ」 「アルファベット?」 「マグカップに書いてあった、PAPA MAMAっていう文字の意味ってわかる?」 「え?」 「それが置かれてた陳列棚の”出産祝いコーナー”って文字の意味もね」 「え?……っ、」 朱里くんが、あたしのお腹にそっと手をあてた。 「元気な赤ちゃん産んでね?」 プっと噴き出した朱里くんは、肩を小さく震わせている。