◇
そういうわけで、あたしと朱里くんは街中に来ている。
朱里くんってば、道行く女の子の視線を集めすぎ。
「あの~、道を教えてほしいんですけどっ!」
きゃぴっと声が聞こえた。
さっきからこの手を使ってくる女の子たちが多すぎる。
あたしの方は一切見ずに、朱里くんに聞くんだよ?!
「そこの十字路を左に曲がってもらって、それからまっすぐいくと右手にあります」
それに対して朱里くんは律儀に答えてる。
「きゃあー、ありがとうございます!きゃあー!!」
はしゃいでどこかにいく女の子たち。
「ねぇ朱里くん、多分だけど、道聞きたいわけじゃないと思うよ」
だって、全然違う方角に走っていったもん。



