それから数日後、少しづつ進めていたジョシュアのマントをようやく直し終わったので彼の部屋を訪ねていた。
1週間という期間は過ぎてしまったものの、丁寧に縫えた自信はある。
「はい、約束してたマントよ。時間かかっちゃってごめんね」
「ううん。全然気にしてないよ。それより皇女様自ら手縫いなんて光栄すぎて一生の宝物になりそう!」
そう言ってマントを広げながら子どものようにはしゃぎ、喜びをあらわにするジョシュア。
忙しい毎日だけどこんなに喜んでくれるなんて、裁縫をラナから教わっていて良かったと思えた。
「(あっ…もう外がこんなに暗くなってる)」
ジョシュアの部屋を訪ねたのは既に日が落ちた後だった。
今日の日中はジョシュアも騎士団の仕事で忙しくて疲れているだろうし、あんまり長居するのは良くないと思い、私は早々に退出しようとする。
「マントも返したし、私はこれで失礼するわね」
「ちょっと待って」
扉に手をかけた瞬間、私の手の上に彼の手が重ねられる。
私はハッとして振り返ると、真剣な眼差しをしたジョシュアの瞳とぶつかった。
「ど、どうしたの…?」
いつもの雰囲気と違う彼に困惑しながら恐る恐る尋ねる。
「俺、騎士団のやつから聞いたんだ。この前エヴァンと夜2人で皇宮の外にいたって。本当なのか…?」
「ええそうよ。彼も婚約者候補なんだから一緒にいたっておかしくないでしょう?」
私は当たり前のことを言っただけなのにジョシュアは不服そうな表情をしていた。